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『インターネット書斎術』
(紀田順一郎、ちくま新書:2002,2,20)
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日進月歩のインターネットの世界。なのに2年以上前に書かれたこの本を、今読む意義があるのだろうかと、ふと思った。だが、読んでみると、今でも「そうそう」と思うことがたくさん書いてある。そのあたりはさすが紀田さん、という気がする。
でも、そういったインターネットを使った書斎術よりも、紀田さんの知識が垣間見えるところの方がおもしろい。たとえば、「二十歳代」は間違いで本来は「二十歳台」だが、「二十代」との混同で「二十歳代」という表記が出てきたのではないかとか、「データベースは一日にして成らず」とか、「索引のない図書あるいは雑誌は、地図のない国にたとえられる」(G,ノーマンナイト『索引作成と実際』)というような箴言、福沢諭吉は五十音順(アイウエオ順)の『言海』(大槻文彦)を嫌って、完成記念パーティーに出席しなかったとか、とにかく「へえー」ボタン押し続け状態である。
そして最後の「日本語インターネット、ここが使えない」で挙げられた、漢字表記・カタカナ表記・送り仮名・記号(符号)・単位の不統一や同音異義の問題は、今まさに日本語が抱えている問題であり、それが英米由来(アルファベット)のインターネットと日本語の相違点であり、国際基準に合わせるために標準化を押し進めるか、それとも表現の多様性をとるのかという問題もはらんでいるようで、大変悩ましい問題であることを再認識させてくれる。

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