ヘッダー Space
『都市と日本人〜「カミサマ」を旅する〜』
(上田篤、岩波新書:2003,9,19)
トップページ
過去掲載分
ヘッダー

Space
京都精華大学の名誉教授である著者は1930年生まれ。以前、この著者の『五重塔はなぜ倒れないか』という本を買ったが、専門的な感じで難しかったので、読みかけてやめたことがあった。今回は「都市」「日本人」「カミサマ」というタイトルに惹かれて読んだ。
著者は、「都市」とは「カミサマ」がいるところだと述べている。ニューヨークの真ん中に教会があるのも、セントポール大聖堂がパリの主だったところから見えるようになっているのも、エッフェル塔がなぜヒトラーのドイツ軍につぶされずに残ったのかも、ニューヨークに摩天楼が作られたのも、すべて「カミサマ」に行き着くと。
そう書かれた「はじめに」に続いては、日本全国の「都市」についての考察が10章まであるのだが、私が興味を引かれたのは第3章「東寺の塔はなぜ倒れないか?〜平安仏教と商業」(実はここには『五重塔はなぜ倒れないか』のエッセンスが、簡潔に記されている)、第9章「甲子園球場になぜ人が集まるか?〜私鉄と郊外の発達」の2章。
それと第2章で、著者が皇居の見学を申し込もうとした時の電話のやり取りで「キュージョーに行きたいのですが」というと相手が「えーっと、何キュージョーでしょう?後楽園にあるドーム球場でしょうか、それとも神宮球場でしょうか?」「キュージョーといえば宮城です。天皇がお住まいになっている・・・」「あっ・・・少々お待ちください」というのが、ちょびっと、おもしろかった。

★★★
Space

Copyright (C) YOMIURI TELECASTING CORPORATION. All rights reserved