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『眠れぬ夜のラジオ深夜便』
(宇田川清江、新潮新書:2004、4,15)
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何を隠そう、私も「ラジオ深夜便」のリスナーである。と言っても、「あさイチ!」を担当している木・金の早朝迎えのタクシーの中で、午前3時半から4時過ぎまで聞くだけなのだが。つまり「眠れぬ夜の」ではなく「起きぬけの朝の」深夜便である。朝の深夜便全国200万人のリスナーの大半は50代以上だそうで、30代から聞いている私などは最年少の部類に入るのではあるまいか。
"あの"『バカの壁』を出した新潮選書から出たこの本、"あの"宇田川清江さんの手によるもの。ラジオ深夜便に関するいろんな裏話が詰まっている。たとえば当初の方針では「演歌はかけない」だったとか(今はよく特集をやってます)、「列島今日の動き」の「列島」のアクセントが「納豆」と同じになっている、正しくは「劣等」と同じ発音だというリスナーから指摘の手紙が来た話などなど。アナウンサーならではという話もあって、「たそがれ清兵衛」を見た宇田川さん、「大変いい映画だったが、役者が『他人事』を"タニンゴト"と言ったのが気になった」と記している。実はこれは、私も気になっていた。言葉のチェックに関して、山田洋次監督は、時代的なものをどう考証したのかが気になった。たとえば、清兵衛の同僚の侍のセリフに
「意見の一致をみねえ。権力を握ろうとしている。」
というのがあった。幕末の山形でこんな言葉が果たして使われていたのか?疑問に思って、原作の本を買ってきたところ、原作の「たそがれ清兵衛」は大変短い作品で、同じ藤沢周平の「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」を合体させて脚本は出来ていたのだった。つまりそのセリフのシーンは、藤沢周平の原作にはない。ということは、山田監督が付け加えたということか。今風の言葉に、ちょっと違和感があった。
いやはや話がそれてしまったが、ま、読みやすいほんなので興味のある方、リスナーの方はお読みになるといいと思う。

★★★
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