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『いちばん大事なこと
〜養老教授の環境論』
(養老孟司、集英社新書
:2003,11,19)
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ご存知、『バカの壁』の養老先生の「環境論」。
「脳」についての先生、というか「解剖学」が専門の先生なのだが、それと関係ありそうでなさそうな「昆虫」の採集を生きがいとしている養老先生。昆虫を通じて環境を考えている。この本の帯には「環境問題こそ最大の政治問題」とある。あとがき(あとがたり?)には「本(=『バカの壁』をはじめとする一連の著作)が売れたので、この際書きたいことは書いてやれ」ということで一気に「語りおろし」(口述筆記)したというふうに記している。
「トキがいなくてなにが困る?」「人間は細胞さえつくれない」「これまでの科学の限界」といった小見出しを見ているだけで読んでみたくなるなあ、という本。特に、「環境教育」の章(165ページ)の日本列島の誕生の図を、オサムシの分布と絡めて解説しているところなどは、大変興味深い。
このセンセイ、半分人生を降りているような、まあご隠居さんのような立場からの意見なので、かえってそこが受けているのかもしれない。タイプは違うかもしれないが中島義道的な部分がちょっとあるのではないか。

★★★
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