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『それぞれの芥川賞 直木賞』
(豊田健次、文春新書:2004,2,20)
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この本の黄色い帯には、
「文学賞の陰のドラマ・第1回から金原ひとみ、綿矢りさ、江國香織、京極夏彦まで、芥川・直木賞全データ付き」
という文字が並んでいました。あのブームになった最年少・芥川賞受賞から1か月、ずいぶん手回しよく第1回から金原・綿矢までの裏話なんて書けたのだなと思って読み進むと、どうも様子が違う。出てくるのは、野呂邦暢という人。知らんなあ。1974年、「草のつるぎ」で第70回芥川賞を受賞した作家(物故)だそうです。この野呂さんと、文藝春秋社の社員編集者として30年間、芥川・直木賞にもかかわってきた著者との間に交わされた100数十通にものぼる手紙を書き写すことで、一人の芥川賞作家が誕生するまでの交流を描いたものでした。が、面白いかというと、それほどおもしろくはない。これは野呂さんという人を私が知らないからでしょう。
実は後半に山口瞳さんと向田邦子さんが出てきて、この二人と野呂さん、豊田さんとの運命的な結びつきが・・・・これは読んでのお楽しみ。
そして、168ページから245ページまでは、たしかに帯に書いてあったように、第1回の芥川賞・石川達三、直木賞・川口松太郎から 第130回芥川賞・金原ひとみ、綿矢りさ、直木賞・江國香織、京極夏彦までの一覧があって、この本の3分の1はその一覧表です。何かの役に立つかも。つまりこの帯のコピーは、正確に書くと、
「(1)野呂邦暢と山口瞳・向田邦子。編集者だけが知る文学賞の陰のドラマ(2)付録=第1回から金原ひとみ、綿矢りさ、江國香織、京極夏彦まで、芥川・直木賞全データ付き」
という2段構えのコピーになるはずのものでしたが、より売れやすくするために、わざとそのあたりの内容をわかりにくくしたのではないでしょうか?

★★
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