ストーリー

第13話
第13話
思い出の逆転(1時間スペシャル)
1月19日(土)夕方5:30~

 弁護士の成歩堂龍一には今も忘れられない特別な事件があった…。成歩堂が大学生の頃、新米弁護士の綾里千尋は師匠の星影宇宙ノ介と共に2度目の裁判に臨もうとしていた。千尋が弁護するのは殺人の容疑をかけられた被告人の成歩堂龍一だった。その1年前に最初の法廷で立ち直れない程のダメージを受けた千尋だったが、今度こそ負けないと決意して法廷に立つ。そんな千尋と相対するのは亜内検事だった。そして成歩堂の裁判が開廷。事件が起きたのは雨が降る勇盟大学のキャンパス。薬学部4年の呑田菊三が殺害されたのだ。現場にいたのは芸術学部3年の成歩堂で、2人の間にはトラブルがあった事も明らかに。

 トラブルの原因は成歩堂の恋人の美柳ちなみで、半年前までは呑田と交際していた。亜内はちなみを巡る三角関係が殺害の動機だと主張する。続けて、亜内は事件現場の写真を公開。呑田の腕時計は3時5分で止まり、手には風邪薬のカゼゴロシ・Zの小瓶を持っていた。風邪気味の成歩堂はこの薬は自分の物だと訴える。事件当日、昼まではあったが、どこかで失くしてしまったという。亜内は事件の衝撃によって腕時計が止まった3時5分が犯行時刻と睨む。

 証言台に立った被告の成歩堂は2時45分、ちなみの事で話があると呑田に呼び出され、話をした後、3時頃に別れたと証言する。成歩堂はちなみを運命の人だと惚気る。成歩堂はちなみからもらったペンダントを身につけていて、事件の日も一緒に昼食を食べたという。被害者の胸の部分には成歩堂の手のひらの跡が残っていて、成歩堂は呑田を突き飛ばした事を認める。呑田の死因は感電で、亜内は成歩堂が切れた送電線に向かって被害者を突き飛ばしたと訴える。

 続いて、事件の瞬間を目撃した文学部3年のちなみが証言台に立つ。千尋とちなみは視線を交わし、2人の間に緊張が走る。ちなみは呑田が成歩堂の胸を突き、成歩堂は傘を放って呑田を突き飛ばしたと証言する。呑田は傘の上に倒れて傘が壊れたという。千尋は「異議あり!」と言って現場の写真を見せながら、傘と遺体が離れていると指摘。つまり、呑田は突き飛ばされた時はまだ生きていたのだ。ちなみは動揺しつつも、成歩堂は2回、突き飛ばしたと証言を訂正する。

 ちなみは1回目に突き飛ばされた呑田は電柱にぶつかり、送電線が切れたと証言する。そして、2回目に突き飛ばされて、切れた送電線で感電した呑田。全ては送電線が切れてから数秒の間に起きたという。亜内は午後2時55分に停電した記録があると送電線が切れた正確な時間も補足。だが、千尋は決定的な矛盾に気付いて「異議あり!」と言い放つ。送電線が切れたのは2時55分、呑田の腕時計が故障したのは3時5分と10分のズレがあり、千尋は空白の10分の説明をちなみに求める。千尋はちなみが成歩堂に罪を着せようとしていると指摘し、ちなみの周りで起きた半年前の事件について話し始める。

 半年前、この裁判所で殺人事件が起き、ちなみは最有力の容疑者だったのだ。亜内はくだらぬ中傷だと話を止めさせようとするが、千尋は今回の事件と半年前の事件は繋がっていると主張する。ある事件の聞き取り調査のためにちなみを裁判所に呼び出した弁護士。所内のカフェでちなみとコーヒーを飲んでいる時に弁護士は絶命。何者かがコーヒーに毒を入れたのだ。その時、容疑者として浮上したのがちなみだった。千尋は半年前の事件についての証言を求め、ちなみは無関係だとハッキリさせたいと応じる。半年前の事件と今回の事件を繋げた千尋はここからが本当の勝負だと気を引き締める。

 ちなみは半年前、弁護士に呼び出され、所内のカフェで会ったと証言する。ちなみが少し席を外して、戻ると弁護士は絶命していたという。千尋は席を外した時間を訊ね、ちなみは10、20分だと答える。コーヒーから検出されたのは高度な化学的処理で精製された特殊な毒だった。ちなみは事件後、身体検査をされたが、毒は見つからなかったと無実を訴える。毒は液体で、目薬の小瓶に入るほどの量が使われたらしく、所内を徹底的に調べたが、毒の容器は見つからなかったという。

 千尋は弁護士に呼び出された理由を訊ね、ちなみは幼い頃に巻き込まれた事件の話をするためだと答える。千尋はちなみが幼い頃、半年前、今回と何度も事件に巻き込まれる事を不自然に感じる。半年前の事件が8月27日に起きたと聞いた成歩堂はその日はこの裁判所でちなみと出会った運命の日だと興奮するが、ちなみはその話は止めましょうと動揺する。それでも、成歩堂は資料室で勉強している時にちなみと出会い、お互いに一目見た瞬間にイイ感じになったと話を続ける。成歩堂はその時、ちなみから恋人の証としてペンダントをもらったと身につけているペンダントを得意げに見せる。

 成歩堂はちなみが照れ屋のため、このペンダントを何度も返してと言ってきた事を明かす。今回の事件の日も昼に返してと言われたという。この時、千尋は裁判前に成歩堂と会った時の事を思い出してハッとなる。成歩堂のペンダントの小瓶には少量の液体が入っていたのだ。千尋はある事実に気付き、半年前の事件でコーヒーに毒を入れたのはちなみだと断言する。ちなみは毒の容器は見つからなかったと主張するが、千尋は事件と無関係の成歩堂なら身体検査をされないから、容器を渡したと反論する。

 千尋は事件の日にちなみが成歩堂にプレゼントしたペンダントの小瓶に毒が入っていると考えていた。追い詰められたちなみは取り乱して激しく動揺する。成歩堂はちなみが特殊な毒を持っているワケがないと擁護。だが、千尋は当時交際していた呑田は危険な薬品を扱う薬学部の学生だと指摘する。呑田の実験室に行けば毒を手に入れる事は不可能ではないのだ。千尋は成歩堂の無実を立証するため、ペンダントの液体を調べようとするが、成歩堂は現実を受け入れられずに混乱して法廷から逃げていく。

 そして、千尋は連れ戻された成歩堂にペンダントの提出を要求。だが、成歩堂はペンダントを食べてしまったと提出を拒否する。千尋は成歩堂の体を心配するが、ちなみは「リュウちゃんが死ななくて残念でしたわねぇ、おばさま」と千尋を嘲笑う。この発言を聞いて成歩堂はちなみの本性に気付き始める。ちなみはこれで毒がなかった事を証明できたと訴える。あと一歩の所までちなみを追い詰めた千尋だったが、法廷は証拠品が全てだった。勝ち誇ったちなみは呑田の事件に戻ろうと冷笑する。それは成歩堂が初めて見るちなみの表情だった。

 これまでちなみの話に合わせて証言を変えていた成歩堂。絶体絶命のピンチに追い込まれた千尋は「本当の事を話して。彼女に言われた事じゃない。あなたが見た事、聞いた事をありのままに。真実を知るにはあなたの言葉が必要なの」と成歩堂に訴える。成歩堂は千尋の言葉に胸を打たれ、表情が引き締まる。裁判長は半年前の事件の審理を終わらせようとするが…。成歩堂は「待って下さい」と隠していた真実を語り始め、裁判は急展開を迎える…。