第490回 番組審議会議事録

1.開催年月日
平成20年3月14日(金)
2.開催場所 読売テレビ役員会議室
3.委員の出席 委員総数 10名
出席委員数 8名
出席委員の氏名 熊谷信昭、秋山喜久、林 千代、馬淵かの子、阪口祐康、川島康生、吉岡征四郎、菊池卓雄
欠席委員の氏名 金剛育子、佐古和枝
会社側出席者 ・土井共成 (代表取締役会長)
・髙田孝治 (代表取締役社長)
・越智常雄 (代表取締役専務)
         編成・制作スポーツ・東京制作・報道担当
・三山秀昭 (取締役)
        内部統制・コンプライアンス・コンテンツ・事業担当
・本田邦章 (取締役報道局長)
・森岡啓人 (執行役員コンプライアンス推進室長)
・村上博保 (執行役員制作スポーツ局長)
・丸山公夫 (編成局長)
・安井祥人 (制作スポーツ局ディレクター)
事務局 ・新谷 弘(コンプライアンス推進室次長兼
        番組審議会事務局長兼視聴者センター部長)
・菱田千佳(コンプライアンス推進室番組審議会事務局次長)
・森本泰輔(コンプライアンス推進室考査・著作権部)
4.審議の概要 □番組視聴  「NNNドキュメント’08 
          河内花園ラグビー酒場~古豪復活に賭けた熱い冬~」
□放送日時 :2008年2月17日(日) 深夜0時50分~1時20分
□放送エリア:全国ネット

3月度の番組審議会は3月14日(金)に、読売テレビ本社で開催された。
審議会では2月17日に放送した「NNNドキュメント 河内花園ラグビー酒場~古豪復活に賭けた熱い冬~」を視聴したあと意見交換が行われた。
委員からは「見た後の、後味のいい余韻の残る番組だった」、「出てくる人たちがすべていい人ばかりだという印象があった。こうした対象を見つけ出してきたスタッフの姿勢がいい」といった意見が出された。
また、「地域に根ざしたスポーツを育てていくためにもコミュニティが大切で、その意味でも番組が貢献している」といった意見も出された。
このあと、2月に読売テレビに寄せられた視聴者の意見・苦情について概要を報告した。
出席は、熊谷信昭、川島康生、馬淵かの子、秋山喜久、林 千代、阪口祐康、吉岡征四郎、菊池卓雄、の各委員と読売テレビからは、土井会長、髙田社長以下10名。

5.審議内容 別掲の通り
6.審議会の意見に対して取った措置
特記事項なし(議事録は関係部署に配布)
7.審議会の答申・意見の公表
●3月27日(木)付け読売新聞夕刊に議事の概要を掲載。
●4月12日(土)午前5時14分から放送の「声~あなたと読売テレビ~」の中で議事の内容を放送。
●本社コンプライアンス推進室に閲覧用として議事録を備え置く。
●インターネット読売テレビホームページで議事録を公表。(http://www.ytv.co.jp)
●社内LANにて全ユーザー(全社員および関連スタッフ)に議事録を配信。
8.配布資料 ●報告概要
●2008年2月に寄せられた視聴者からの意見・苦情
9.送付資料 ●民放連機関誌「月刊民放」
●民放連機関紙「民間放送」

【審議内容】


社側
 3月の番組審議会を始めさせていただきたいと思います。
 まず、委員の方々のご出欠の状況ですけれども、きょうは金剛委員と佐古委員の2人がご欠席でいらっしゃいます。
 きょうは、2月17日に放送いたしました『NNNドキュメント』の中から『河内花園ラグビー酒場』という番組を取り上げてご審議をいただきたいと思います。ドキュメントの中では、ちょっと珍しいスポーツものといいますか、あるいはヒューマンなものといいますか、こういう番組もご審議いただいたらいいのかなと思いまして、きょうは取り上げました。
 この席にスポーツ部の安井が来ております。今回の番組の取材を担当いたしましたので、番組の意図等について、ご説明をさせていただきます。

社側
 制作スポーツ局スポーツ部の安井と申します。どうぞよろしくお願いします。ちょっと緊張しております。着席して説明させていただきます。
 ここにA4・一枚の資料がございますので、こちらのほうをご覧いただきながら説明させていただきたいと思います。
 まず、番組の内容なんですけれども、関西社会人ラグビーのいわゆる名門「近鉄ライナーズ」という近鉄のラグビー部が、トップリーグに昇格するまでを、チームの最古参のベテラン選手と、それを支える地元応援団の人の出会いを通して描いたドキュメントであります。
 先ほどお話もあったように、私が所属しておりますスポーツ部では、あまりこういうドキュメントというのをやる機会というのは、それほど多くないわけでありまして、普段は毎日、スポーツニュースの取材でありますとか、野球やサッカー等の中継、あるいはゴルフトーナメントの運営といった、スポーツというものにかかわる業務を全般的にやっております。
 そもそも、この企画なんですけれども、一昨年の2006年の冬に「近鉄ライナーズ」がトップリーグに昇格しそうだという情報を目にしまして、その中で近鉄というのは、皆さんご承知のとおり鉄道会社でありまして、鉄道会社で働きながらスポーツをすると、競技をしている選手の日常というものも、非常にちょっと興味があったもので、そういった視点で取材を始めました。
 そのときの取材をしたものが、昨年2月に弊社の『BRAVO!』という深夜に放送しておりますスポーツ番組の中で、10分程度のドキュメントとして放送しました。そのときのタイトルが『近鉄ライナーズ~復活へのスクラム~』というタイトルで、のちにご覧いただく『ラグビー酒場』にも登場します浜辺選手ですね、近鉄・浜辺選手を主人公に10分程度のドキュメントを制作しました。この企画を、さらに1年間の追加取材をしたのち、再構成したものが、今回の『ラグビー酒場』であります。
 狙いなんですけれども、二つありまして、一つは、まず花園ラグビー場という関西が誇るスポーツのいわゆる遺産、文化遺産とも言えるべき施設と、その地域に住む人々にとってのスポーツというものを描きたかったということがあります。
 もう一つは、無名の選手、登場する選手は非常に無名の選手なんですけれども、無名の選手であっても、やはりスポーツ選手である以上、意地とプライドをかけて勝負していると、そういう姿を正面から伝えたいということがありました。
 皆さん、ご承知のとおり、スポーツというものは、当然、筋書きのないストーリーでありまして、今回の企画についても、私たちが意図していたことが、すべて伝えられていたかどうかというところは非常に不安なところもあるんですけれども、そういった中で、この『花園ラグビー酒場』というものを制作させていただきました。以上です。

社側
 それでは早速VTRをご覧いただきたいと思います。今回はダイジェストではございません。もともと30分枠の番組ですので、CMだけを抜きまして、全編をご覧いただきたいと思います。

          <VTR視聴>

社側
 どうもありがとうございました。
それでは委員長、よろしくお願いいたします。
委員長
 ありがとうございました。なかなか、いい番組だと思います。サッカーでは、こういう雰囲気の作品にはならないと。どなたか、この中でラグビーをやっていらっしゃった方はいらっしゃいますか。ラグビー、女性はやってらっしゃらないが、何かご感想ございますか。

委員
 私も、きのう、ぎりぎりまで、これを見ました、家に送られてきましたから。
 久々に何か映画を見ているような、何かすごくいい感じで、ラグビーというのは、本当に男のスポーツで、女は、とてもじゃないけど、あそこまで燃えられないんですけど、ラガーマンというのは、本当に独特の雰囲気がありまして、私も何人か知っていますけれども、非常に男っぽい人が多いんですね。サッカーなんかのチャラチャラした感じは全然なくて、サッカーしている人には申しわけございません。何かどしっとしていて男っぽい人が多いので、私も、ああいうアメリカンフットボールだとか、ラグビーの男性は非常に魅力を感じて大好きなんです。
 ですから、きのうも楽しみに、そのビデオを見たんですけれども、非常によくまとまっているし、それで時々、その試合の要所々々、負けたときとか、ドラマチックに点数を入れたとか、そういうところがちょこちょこ入ってきて、見ている者がスリルを感じるというんですか、スポーツというのは何が起こるか分からないから、ドラマにならないようなドラマが出てくるので、それを見ていると、その場面が何回も出てきて、それも非常に面白かったし、やはりスポーツというのは、こういうところでは非常にインパクトあるなと感じながら、そして映画を見ているように感じたというのは、その時々酒場であったり、いろんな人が個性的な方が、主役あるいは準主役みたいな形で出てきて、そして酒場のおかみさんが、ちょこちょこと、ニコニコと出てくるのが、とても映画的で緩衝材になっているなと思って、非常に嬉しく拝見しました。私だけかもわかりませんが、とにかく私ラグビー大好きです。するのはできませんけど、見るのは大好きでございます。

委員長
 いいご意見をありがとうございました。

委員
 さっき委員長が言われたように、いろいろバラエティー番組が多い中で、こういった長期のドキュメントものを取り上げたということは非常にいいことだと思います。見ていて非常にさわやかですし、いろいろ教訓にも富んでいるんじゃないかなというふうに思います。
 一つは、スポンサーというか、企業が、近鉄さんがやっておられたんですけども、もちろん近鉄さん、売るとか、売らないとか、企業の問題があったけど、こういったスポーツというのは、地域のコミュニティーに支えられていくスポーツというのは非常に大事になってくるんじゃないかなということで、委員長がお嫌いなサッカーでも、鹿島アントラーズみたいに、住金さんが後ろへ引いて、地元が前へ出てやっていくということで、地域コミュニティーと一緒に物事をやっていく。スポーツとしてもそうですし、これからも地域づくりということが、国づくりの基本になってくるんじゃないかなという意味で、そういった意味での教訓が一つあったというふうに思います。
 もう一つは、選手の側で、「縁の下の力持ち」と本人も言っていましたけども、そういった意味では、非常にスポーツが今きらびやかになりつつある中で、こういったひたむきな努力をして、身体を鍛えながらチームのために、我がチームということでやっているスポーツマンの姿というのも非常にさわやかだと思いますんで、これも非常にいい教訓になったんじゃないかなというふうに思います。
 ただ、こういった地域に非常に密着したスポーツの欠点というのは、あまりにも応援が強いと、最後、緊張するんだそうですな。ここで守り切ればというロスタイムで2回、逆転しておられるというのは、選手があまりにも緊張しすぎて体が硬くなっているんじゃないかというふうに、この間もNHKさんですか、パウエルか何かの分析をやって、無冠の最速王とかいうことで、9.97の世界記録を持っていながら、どうしてもオリンピックとか、世界選手権とか、大舞台では勝てないんですね。
  これは何か映像で分析すると、普通は前の筋肉と後ろの筋肉が交互にリズムよく走っているんだそうですけど、これは脊髄の指令で、これ先生がいらっしゃるからあれだけど、自動的にそういうふうになっている。そういうときは非常に速く走れるんだけど、脳が「速く走れ」と指令を出すと両方が一緒になっちゃって、結果的には、いわゆる硬くなるというのか、スピードが出せないというようなこともあったようですけど、そういった意味では、地域を愛するあまり、かえって硬くなるというのも、人間味があって面白いのかなというふうに思いますけど、いずれにいたしましても大変いい番組だったというふうに思います。

委員
 私、これを見させていただきまして、テレビの特徴である映像の力といいますか、映像の訴求力というものの強さを改めて感じました。私の思い過ごしかもしれませんけど、この番組の一つのキーワードとして、このプロップといいますか、支柱というのを何か軸に据えているように私は感じました。
 地域の人、応援団長あるいは登場している浜辺さんもプロップとして支える。全体として、みんないろんな重みがありながらも支え、やはり自分が支え、あるいは人に支えられるというのが非常にいろんな場面の表情の移り変わりとか、それが出ていて、特にナレーションで、そういうことを別に言うわけでもないんですけれども、それが非常に感じて、その映像の訴える力の強さというのが感じたわけです。
 その全体に、またこれはつくられた方が意図されているのかどうか、ちょっと分かりませんでしたが、ずうっといろんな場面が出る中で、その東大阪の雰囲気といいますか、あの地域全体が、最初に「中小企業の町」というふうに言われていましたけれども、まさに支柱となって日本の経済を支えているというようなことも暗に言っているのかなというのを感じたわけです。
 それと、もう一つは、編集が非常に整理されていて分かりやすかったように思います。多分あそこまで、要するにスポーツ選手が風呂場へ入っているところまでカメラが入っていくわけですから、相当、取材対象の人と周りに同化といいますか、というところまで入っていってはると思うんですが、私どもも仕事柄、同化しすぎると、今度、整理するときに切れなくなる。だけど、この30分、1時間じゃなく30分ですよね、この中で一つの私が見る限り、そのプロップというキーワードに合わせて非常に、骨だけで分かりやすく説明されて非常に感銘を受けました。以上です。

委員長
 ありがとうございました。
 委員は、何か高校の体育部でやっておられなかった。

委員
 いえいえ、体育の正規の時間にラグビーをやりました。
 私らの高校のときの正規の授業のラグビーは、石ころの転がっているようなグラウンドでやったんですが、随分、野蛮なラグビーをやっていたんですけれども、ラグビーは私も好きです。サッカーが入ってきたときに、やっぱりラグビーのほうが、ずっと楽しかったんですけれども、今はルールも変わってしまいましたんで、大分昔と変わったような気がしますけれども、とにかく、いい番組であったと思います。
 どこにでもあるようなお話、あるいは、ちょっとだけいいお話を大変いいお話に仕上げられたんじゃないかというふうに思います。うまくまとめられたと思います。私の嫌いなバラエティー番組を見ているよりも、ずっと楽しく。
 それで浜ちゃんという主役の顔が、何となくボーッとしていて、あれがまた好感を呼んだんではないかなという気がしますね。
 ただ、一つ私が思いましたのは、この番組、最後にあのチームがトップリーグに上がれなかったら、どういうふうにされたのかなという点です。
 といいますのは、私今でも高校に進路指導の講義に、年に何回か、いろんな高校へ行くんですけどね。話をするときには、みんな結果を求めて、いろいろ職業を考えるけれども、いい結果が出せる人というのは、ごく一部にすぎない。それで失望してしまうようでは人生はつまらないんで、いい結果が出なくても、とにかく、それへの過程を楽しめるような職業、それへの努力をすることが楽しいような職業を探しなさいということを、いつも言っておるんです。
 浜ちゃんの姿を見ていて、これはやっぱり浜ちゃん楽しいですよ、人生楽しんでいますよ、彼は。「失望して、失望して」というように言っていますけど、目標を持って、それに一生懸命やっているということ自体が、美しいと同時に非常に楽しいんだと思うんですね。
 ですから、これが、もしも、うまく一部昇格ができなくても、そこをうまくまとめられていたら、私はもっと素晴らしい教材になっていたんではないかなという気がして見ておりました。
 最後に、一部昇格してしまったんで、何かちょっとアメリカ映画みたいになったなと、そうでなかったほうがよかったなという気が私はしておりました。
 これは番審として、そこまで気にする必要はないんでしょうけども、ついでにちょっと教えていただきたいんですけども、この番組一つ、つくるのと、それから有名タレントを連れてきてバラエティー番組を一つ、つくるのと、どっちがお金がかかって、どれぐらい違うんでしょう。それを参考までに教えていただきたいなと思います。

委員長
 これは、どなたにお答えいただきましょうか。

社側
 10分の1ぐらいです。

委員
 そうですか。じゃ、こっちのほうがいいですね。視聴率はどうですか。

社側
 それも10分の1ぐらいです。

委員
 そんなことはない、10分の1ということはない。

社側
 ちなみに、これはオンエアが日曜日の深夜0時50分からでしたけども、視聴率、関西で4.3%、関東で2.2%、まあ半分、近鉄ということなのかもしれませんけども、そのぐらいの数字です。だから当然9時とかでやれば、全然違う数字だろうとは思いますけど。

委員長
 ありがとうございました。

委員
 私はラグビーのことは全然知らないんですけれども、下町人情物語、いいドラマを見せてもらったなという印象でありまして、出てくる人が、みんないい人柄なんですね、不思議なぐらい。私設応援団長か、ガラの悪いおっさんだなと思ったら、自分の事務所で話す表情は非常に柔和で、感じのいいおじさんでありましたし、酒場のおかみさんもいい。それから、ちょっと出てくる銭湯の世話焼きのおばさんも大変感じのいい人。
 こういう人たちを見つけたチームの努力を讃えたいという気が本当にいたします。偶然だったかもしれませんが、いい人たちが集まった下町の雰囲気をうまく描写してくれたと。
 それから些細なことで恐縮ですが、例えば、酒場であのでかい生ビールが190円と、あれも腰抜かすぐらいの値段なんですが、さすがにという感じがしました。そういうところでも感心いたしました。
 それから、近鉄の監督が彼を最後に当然出すわけですけど、彼がボールに触れずに終わったというのも、またよかったなと、ほろりとさせられる感じがしまして、全体としていいものを見させていただいたという思いでございます。

委員長
 なるほど、ありがとうございました。

委員
 ドキュメンタリー番組が好きで、いろいろ見せていただいておりまして、いつもどういうわけか、重いテーマ性があって、見た後で、怒りとか、感動とか、それから共感とか、そういう感情が湧き上がってきて考えさせられる場合が多いんですけれども、今回のこの花園ラグビー場の番組は、非常に温かさを感じて、とてもよかったと思うんですけれども、反面、やっぱり強烈なメッセージというか、それがちょっと欠けている部分で、ふうんという感じで終わるのがちょっと惜しかったかなと思ったんですけれども。お正月に、花園ラグビー場の高校生、これはルールも何も分からないんですけど、どういうわけか、いつも見ております。
 ということは、多分ラグビーの男のこういう戦いが、非常にきつい、汚い、危険と言われているらしいですけども、とても、やはりルールがわからなかってもいいなと思いながら見ていたのだと自分では、今思っています。
 それで何人かの方が、先ほどもおっしゃったように、主人公の選び方が、とてもやっぱりよかった。それから周りの応援している人たちが、要は人間の日々の暮らしの中で、人それぞれの生きがい、そういうものを応援する人、運動する人、そういう特殊でない部分を選ばれたのが、すごいよかったんじゃないかと。
 これ阪神やったら、ちょっと違うような形になると思うんですけれども、ラグビーのあまりメジャーじゃない部分がよかったと。非常に阪神の応援と違う品格を感じ、とてもよかったと思いました。その辺で、もし阪神やったら、私は阪神ファンですけれども、ちょっと「やめておけよ、そこまで」というぐらいのものを感じたかもわかりませんけれども、素材として、とてもよく、人間、誰を応援するのかというようなことを考えたときに、日々のそのそれぞれの仕事を持っている人たちの中の希望を、そういうものが見えて、とても視聴後のさわやかな感動をいただいた、いい番組だと思います。ありがとうございました。

委員
 もう既に、いろいろおっしゃった方と重複するところもあります。私自身は、これ見終わった後、非常に後味のいい余韻の残る、いい番組だったなというふうに感じました。
 印象に残った点を2点ほど申し上げたいと思うんですけども、まず1点目は、もう既に何人か出ていますけども、題材が非常によかったといいますか、取り上げる題材がよかったというのが1点あります。
 それでラグビーが扱われていますけども、先ほど委員がおっしゃいました下町人情物語というふうにおっしゃいましたけど、まさにラグビーが仲立ちして、織りなされている下町の人間模様が非常に印象的だったというふうに思います。
 出てくる人たちも、みんなごく普通の人なんですけども、損得抜きで、一生懸命、応援する人や、それからどこでもいるような常連客相手の酒場のおばちゃんとか、あるいは、もう盛りは過ぎてしまったけど一生懸命練習している選手とか、ごく普通の人なんですけども、そういった人たちが本当に自然なんですね、つくり物でないような人間の触れあいみたいなものが描かれていたというのが非常に印象的だったと思います。
 それから2点目なんですけども、これはつくり方というか、編集というのか、どういうふうにいうのか分かりませんけど、それが非常によかったというふうに思います。何といいますか、いろいろな場面が出てきますが、その映像が非常に自然に見えます。
 例えば酒場で、みんなお酒を飲んでいる情景とか、あるいは練習しているところとか、あるいは風呂場のあの銭湯の番台のおばちゃんと交わしている会話とか、あれは何か、あんまり映されているという感じじゃなくて、ごく自然の日常の姿がそのまま出ているという、そういう印象を持ちまして、ナレーションも非常に、あんまり過剰にわたっておりませんでした。これ非常に、何といいますか、かえって、そのことによりまして真実味が深まったんじゃないかなと思いますし、余韻も、それによって出てきたんじゃないかなというふうに思います。
 以上、2点が印象に残った点でありますが、どうも、よい番組というのは、ゴールデンタイムやプライムタイムよりも、深夜に放送されることが、どうも多いようですが、とにかく、いい番組だったというふうに思います。

委員長
 ありがとうございました。
 安井さん、この読売テレビの番組審議会というのは、なかなか厳しくて、きょうのように全員が、大変好感を持てる番組だったというような評価に全員がなるというのは、あんまりないんですよ。そういう意味で、大変皆さん、いい番組だと思われたと思います。
 私がサッカーは嫌いだと申しましたけど、どうしてもサッカーが好きになれない理由というのは、実際に幾つかあるんです。
 それについて、この番組に関連して申しますと、例えば、どんなスポーツにも応援団とか、ファンというのがいるんですが、サッカーだけは、日本でも、応援団と言わずにサポーターという、それからして気に入りませんけどもね。
 しかも、あらゆるスポーツの中で、応援団が、たまに殺し合いをするとか、警察が大勢入らなかったら収まらないような大乱闘が、たまにだったら、ともかく、しょっちゅう起こる。というのは一体どういうわけなのか。
 気にいらない理由は、ほかにもいろいろありますが、きょうの番組に関連して言えば、例えば、そういうことも好きになれない理由の一つなんですが、安井さんのように、スポーツ局のディレクターというスポーツの専門家といいましたね。その分野に詳しい方にご意見を伺いたいんですけども、どうしてサッカーだけは、サポーター、つまり応援団というのが、殴り合いはするわ、殺し合いはするわ、警察が大勢来てないと何が起こるか分からない。
 かつ、なぜサッカーだけがそうなるのか、テニスにしたって、野球にしたって、そんなことにならないんですね。ラグビーにしろ、アメリカンフットボールのような似た激しいスポーツでも、そういうことは、まず起こらないと。なぜサッカーだけ起こるのかと、これちょっと教えていただきたいんですが。

社側
 私も実は、スポーツ部に来たのが、わずか1年半ぐらい前でして、スポーツの専門家というわけではありませんでして、しかも競技経験が全く私、ありませんでして、ただ、今おっしゃったように、確かにサッカーというものに対する違和感というのは、私も常々感じておりまして、私が好きなスポーツは、野球とラグビーなんですけども、やっぱりサッカーというのは、先ほどおっしゃったように、本当に応援団とサポーターと言ったり、場所によっては殺し合いにまで発展したりという、すごく野蛮な面があったりするというのは、何となく気にはなっていたんですけども、やはり、おそらく、これは私の個人的な意見なんですけども、もともとラグビーというのも、サッカーの発展形であったことは確かなんです。たまたまサッカーでボールを蹴り出したときに、ある少年がボールを手に持って走りだしたというのが、もともとラグビーの起源だといわれています。サッカーというのは、それこそ、もっと原始的な、いわゆる村と村の戦争の代わりみたいな感じで行われていたというのもありまして、ですからルールも、そこにやっぱりないというか、非常に簡単なルールで、どこでも楽しめるというのがいわれているんです。
 それが故に、結局どこの地域でも広まりますし、誰でもやれる。逆に、エキサイトすれば本当に取り返しのつかないことになってしまうという、ラグビーというのは、やっぱりルールが、殴り合いといったら変ですけど、コンタクトプレー、接触プレーがやっぱり基本なので、非常にルールがシビアですし、戦術、戦略も非常に頭脳的というたら変ですけども、複雑なんで、やっぱりそういう意味ではラグビーというのは、なかなか入りにくいですし、やっぱり節度を持ってプレーしないと、見ているほうも、やっているほうも楽しめないという、おそらくそういうところが、多分サッカーとラグビーの大きな違いを生んでいるのではないかなというのが、私の意見、何となくの考えなんですけども。

委員長
 何か、あんまり納得できる、意見とも思えないんですけど。理由もなくはやるという物事が、そもそも私は、あんまり気に入らないんですね。それでサッカーが、子どもたちにまで、何かはやりのように好まれている。そういう影響が、やっぱりラグビーなんかのファンが減っているということになっているんじゃないかと思うんですね。
 だけど皆さん、大変いい、好感を持たれた番組なんで、よかったと思います。

社側
 ありがとうございます。

社側
 ありがとうございました。
 それでは先月、2月に私どもに寄せられました声について、簡単にご報告させていただきます。
 2月に読売テレビに寄せられましたご意見は総数で6,863件、数としては非常に多い数でございましたが、中身は、何かに集中するということはありませんでした。数は多いんだけれども、問い合わせ等が多かったということで、あんまり特異な事例はございません。
 ただ、1件だけ、ちょっと『ウェークアップ!ぷらす』というニュース番組の中で、コメンテーターの一人が、例のイージス艦と漁船がぶつかった事故について「漁船にも責任があるのではないか」というような、非常に穏当なご発言なんですけれども、世の中のほうが、「まだ遺体も見つかってないのに」という、ちょっと感情的な部分で、ワーッと100件近くの抗議が寄せられたりしたことはございましたが、別に発言の内容そのものは非常にバランスの取れた内容だったというふうに思っております。あとは特異なことはございません。
 それから来月でございますが、来月は4月11日、金曜日に、この同じ場所で開催をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。きょうは本当にありがとうございました。


以上

  • 平成19年度読売テレビ番組審議会委員
  • 委員長    熊谷信昭   兵庫県立大学名誉学長、大阪大学名誉教授
  • 副委員長    馬淵かの子   兵庫県水泳連盟   顧問   元オリンピック日本代表
  • 副委員長    川島康生   国立循環器病研究センター   名誉総長
  • 委員    秋山喜久   関西電力株式会社  顧問
  • 委員    金剛育子   能楽「金剛流」宗家夫人
  • 委員    林  千代   脚本家
  • 委員    阪口祐康   弁護士
  • 委員    佐古和枝   関西外国語大学教授
  • 委員    北前雅人   大阪ガス株式会社   代表取締役副社長執行役員
  • 委員    谷  高志   読売新聞大阪本社   専務取締役編集担当